高野山町石道を歩いてみよう

町石に導かれて高野山を目指すハイカー





昨年、
熊野古道の中辺路と小辺路を歩いてみました↓↓↓

熊野古道・小辺路を歩いてみよう
熊野古道・小辺路を歩いてみよう、アゲイン
熊野古道・中辺路を歩いてみよう
熊野古道・中辺路を歩いてみよう、アゲイン


今回は、
これらの続きです。






世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」
熊野古道は、
熊野三山(熊野本宮、熊野那智、熊野速玉)へ通じる参詣道の総称で、
熊野参詣道とも呼ばれ、
以下の5つの道を言うそうです。

  1. 熊野参詣道・紀伊路
  2. 熊野参詣道・小辺路
  3. 熊野参詣道・中辺路
  4. 熊野参詣道・大辺路
  5. 熊野参詣道・伊勢路

これらは、
1の紀伊路を除いて、
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されています。

また、
「紀伊山地の霊場と参詣道」には、
上記4つの参詣道以外に、

  1. 高野山町石道
  2. 大峯奥駆道

が含まれます。



で、
今年は、
高野山町石道を歩いてみる事にしました。






高野山町石道とは
高野山町石道は、
高野山麓の慈尊院(九度山)から大門を経て、
高野山奥の院に至る約26kmの参道。

この道には、
道標として、
1町(約109m)ごとに、

「町石(ちょういし)」と呼ばれる、
高さ約3メートル強の五輪卒塔婆形の石柱が建てられ、
道行く人を導いています。

その数は、
高野山上の根本大塔(壇上伽藍)を起点として、
慈尊院までの約22Kmに180基、
根本大塔から、
弘法大師御廟(奥の院)までの約4Kmに36基、
合計216基とか。



ですが、
高野山は前回小辺路を歩いた時に散々散策しているので、
今回は、

ソース:高野山町石道マップ
慈尊院から、
根本大塔までの22Kmを歩いてみたいと思います。






旅の始まり
と言う事で、
やって来たのは、
南海電鉄 高野線の、

九度山駅。

ここから、
今回の旅が始まります。



空海が高野山を開創した際、
空海は町石道を通り、
月に9度は山をおりて、
麓の慈尊院に滞在していた母のもとに通ったと言われ、
それが、
現在の地名「九度山」となったとか。






では、

スタート(08:15)






九度山駅をスタートし、
最初は、
町石道のスタート地点 慈尊院を目指すのですが、
途中で、
ちょっと寄り道を。



最初の寄り道が、

九和楽



九度山駅から慈尊院に行く途中にある、

「柿の葉すし」のお店です。

ここで、
今日のお昼ごはんを調達。






更に、
もう一箇所寄り道。



それが、

真田庵。

これも、
慈尊院に行く途中に有ります。

真田庵、
正式な名は「善名称院(ぜんみょうしょういん)」、
真田幸村父子の屋敷跡に建てられたお寺です。



こちらが、

真田地主大権現。

このお寺で、
怒った姿の昌幸の霊がたびたび見られるようになり、
そこで、
昌幸の霊をこの地の大権現の神様にして祀ったところ、
穏やかな顔になった昌幸が現れ、
そして祀ってもらったお礼にこの地を守ると約束したとか。

それがこの真田地主大権現だそうです。






高野山町石道を歩く
ちょくちょく寄り道しながら、
やって来ました、

慈尊院(08:56)

弘法大師(空海)が、
高野山開創に際し、
高野山参詣の要所にあたるこの地に伽藍を草創し、
庶務を司る政所、
高野山への宿所、
冬期の避寒修行の場所としたそうです。



弘法大師のお母さんが、
香川県の善通寺より訪ねてこられました。

しかし、
当時の高野山は女人禁制だったため、
弘法大師の元には行くことができず、
この慈尊院で暮らし、
そして、
この地で亡くなられたそうです。

なので、
「女人高野」とも呼ばれています。




変わった絵馬ですが、
女人高野のいわれがあるため、
子授け、安産、育児、授乳、良縁などを願って、
乳房型の絵馬を奉納する女性が多く訪れるそうです。

最初見たときは、
饅頭かと思ったのですが、

オッ○イだったんですね、
失礼致しました。






多宝塔の横の階段を登ります。

そうすると、
右側にありました、

町石らしき石柱が。



よく見ると、

確かに「百八十」と読めます。

「八」は厳しいけど。



町石道の町石は、
高野山の根本大塔を起点「1」とし、
ここ慈尊院を「180」としています。






階段を登りきると、

丹生官省符(にうかんしょうぶ)神社(09:01)

弘法大師が慈恵院を開創する際、
その鎮守として丹生・高野明神を祀ったとこらしいです。

世界遺産らしいですね。



とりあえず、
高野山までの、
旅の安全をお願いしときました。



奥にあるのが本殿、
重文らしいです。



神社の右の小道を進みます。






そうすると、

179町石。

やはり、
先の石塔は180町石のようです。






更に進むと、

広場に出ました。

正面はトイレです。

そして、
右には階段が。

登ってみました。






山門(仁王門)を潜ると、
現れるのが、



勝利寺(09:09)



更に、
その横には、

紙遊苑。



勝利寺は、
弘法大師が高野山を開創する以前からあったお寺で、
大師が厄除けのための十一面観音を奉納されたことから、
厄除観音として古くから信仰されているとか。

そして、
現在はスポーツや勝負事に勝つことを祈願する寺、
として親しまれているらしいです。

まぁ〜、
「勝利寺」ですから、
そうなりますわね。



紙遊苑は、
高野紙(古沢紙)の体験資料館らしいです。

その昔、
九度山には、
100軒以上の手漉き和紙屋さんがあったそうです。



山門(仁王門)には、

多くの草鞋が掛けられています。

高野山参りのお礼奉納なんでしょうかね?






勝利寺・紙遊苑から下りて来て、
トイレをお借りし、
タバコを一服し、

スタート(09:17)





穏やかな登りが続きます。

このルート、
慈尊院の標高が94m、
高野山大門が848m、
なので、
基本登り基調です。



道は、

良く整備されてて、
とても歩きやすいです。






170町石(09:34)

10町程来た訳ですね。

町石のおかげで、
残りの距離が分かって良いのですが、
分かるだけに、
辛かったりします(笑)




 

おっ、

ハイカーさん発見。

って、
実は、
後ろから抜かされたんですけどね。

今日は、
土曜日でお天気も良く、
大勢のハイカーさんが歩いておられました。

そして、
皆さん、
抜かして行きます。

どんだけ遅いんでしょうか、
私(笑)






展望台への分岐(09:47)

町石道は左ですが、
展望台で休憩します。



展望台からは、

橋本市街が一望出来るほか、


このあたりでは有名なトレッキングコースである、
国城山等を望むことが出来ます。







休憩を終え、

スタート(09:54)






先行のハイカーさんが何やら盛り上がっています。



これを買ってたんですね。

まぁ〜、
和歌山と言えば、
ミカンと柿ですからね。

ちなみに、
道の両側は柿の木の畑?です。






160町石(10:05)


今までは、
舗装された道だったのですが、
162町石辺りから、

地道になります。

と言っても、
とても歩き易い道ですが。






榧蒔石(10:12)

町石道から80m程奥に入ったとこにあります。

だ、
そうです。

しかし、
一見何の変哲も無い石ですが、
世界遺産ですから。






何の変哲も無い世界遺産の石シリーズ第2弾、

銭壺石(10:14)

だ、
そうです。



と言う事で、

銭が置かれています。

誰が回収するんやろ?






雨引山分岐(10:20)

左に400m程登ると、
雨引山(510m、三角点は477m)に行くそうですが、
今日はパス。

まっすぐ、
町石道を進みます。






150町石(10:28)






お地蔵さん(10:33)

中辺路や小辺路では、
多くの石仏が祀られていましたが、
町石道は少ないですね。

同じ参詣道なのですが、
意味合いが異なるのでしょうかね?



柿やミカンがお供えされてますが、
道の途中で売ってたやつでしょうか?(笑)






1町(109m)ごとにあるはずの町石が並んでいます。



良くみたら、
1基は144町石で、
1基は「1里石」でした。

里石(りいし)は、
慈尊院から数えて36町(1里)ごとに、
合計4基が置かれているようです。



『まだ、
 1里なのね(_ _ )』






140町石(10:50)





137町石。

ここらあたりから、
石の階段になります。






階段を登りきると、

六本杉(10:59)

六本杉と言うので、
六本の杉があるのかと思ったのですが、
数えきれないくらいの杉でした。

ここは、
ちょっとした広場になっていたので、
休憩します。






休憩を終え、
スタートするのですが、
実は、
ここで、
道は二手に分かれ、
町石道は、
鋭角に来た道の方向に曲がります。

来た道を真っ直ぐ進むと、
丹生都比売(にうつひめ)神社に行くんですね。

この神社も世界遺産に登録されているので、
行って見ようかと思ったですが、
今回は、
初めての町石道だったので、
正規のルートを行くことにしました。



先行のハイカーさん達も正規ルートを進むようです。



私も、
正規ルートで、

スタート(11:06)






130町石(11:19)






古峠と124町石(11:24)

左に折れると、
上古沢駅に下りれるようです。

この上古沢で分割して、
九度山〜上古沢、
上古沢〜高野山を歩くハイカーも多いそうです。






二ツ鳥居手前の展望台(11:28)

ここで、
お昼ご飯にします。

なんせ、
今日は、
朝4時半に朝ごはんを食べたので、
お腹が空きました。



食べるのは、
もちろん、

柿の葉すし。



中は、

鯖。

これが、
メチャ美味!

昨年、
小辺路を歩いた時にも、
食べて美味いと思ったのですが、
マジ美味いですね、
これ。



この後は、
コーヒーを入れてマッタリ、、、



するはずだったのですが、
同じくこの展望台でご飯を食べてた、
小さな女の子を連れた若いお父さんが、

『どこまで行かれるのですか?』

私、

『高野山まで行こうかと』

と答えると、

『ここからだとかなりありますよ』

『特に矢立から大門までは、
 2時間くらい登りが続くので、
 そこそこキツイです』

とのこと。

更に、

『この時期、
 日も短いですからね』



ここは、
121の町石を過ぎた所、
まだ、
1/3しか来ていません。

残りは2/3、
時間は今11時半過ぎ。



マジ、
やばいかも。

なんせ、
これまで、
チンタラ、チンタラ、
登って来ましたからね。



と言うことで、
急いでコーヒーを飲んで、
出発します(11:47)






二ツ鳥居(11:47)

先の展望台の横です。


二ツ鳥居の横にあるのが120町石。

この前の道を右に折れると、
丹生都比売神社に行きます。

つまり、
先の六本杉を真っ直ぐ進むと、
丹生都比売神社を通って、
ここに出てくるんですね。

ちなみに、
この二ツ鳥居は、
丹生都比売神社の鳥居です。






都合の良いことに、
120町石からは下りが続きます。

と言うことで、
巻いて行きます。






白蛇の岩と鳥居(11:53)
 

だ、
そうです。

今までは、
一々説明を読んでいたのですが、
そんな時間は勿体ない。

とりあえず、
写真だけ撮って、
先に進みます。






巻きで歩いてると、

ゴルフ場のティーグランドに出ちゃった。

これ、
別に道を間違えた訳ではなく、
ゴルフ場(紀伊高原CC)の横のカート道を歩いているです。






神田地蔵堂(12:00)

先行のハイカーさん達がお昼を食べています。

『おさき〜』






110町石(12:01)



100町石(12:15)



90町石(12:29)

やっと半分です。






笠木峠(12:35)

ここも左に折れると、
上古沢駅に下りれるようです。

道は荒れてるようですが。






80町石(12:44)



3里石(12:57)

2里石は見逃した。



70町石(13:00)






車道に下りて来ました。



車道を渡って、

矢立(13:12)

60町石は、
矢立茶屋の道路を挟んで反対側にありました。



二ツ鳥居を出発したのが11:47、
今が13:12、
1時間と25分ですか。

二ツ鳥居〜矢立のCTは2時間なので、
亀足の私としては、
結構良いペースで来ましたね。






矢立茶屋で休憩。

頂いたのは、
もちろん、

やきもち。

ここ花坂の名物らしいです。

2個はここで食べて、
2個は行動食として、
テイクアウト。





で、

スタート(13:26)



矢立茶屋の横の道を登って行きます。

基本、
ここから大門まで登り一辺倒です。

一部フラットなとこもありますが(下りも少しあり)、
基本は登り。

とは言っても、
大門手前以外は、
なだらかな登りです。

大門手前も、
急登ですが、
直登ではなく、
ジグザグに登って行くので、
そんなに大変ではない(と思います)。






六地蔵と59町石(13:28)






袈裟掛石(13:35)

ここら辺りから、
車道横断箇所まで急坂が続きます。

前を行くハイカーさんを見れば、
急登具合が分かるかと(笑)






押上石(13:38)

だ、
そうです。






新旧53町石(13:39)

なぜに、
古いのを撤去しないのでしょうか?

面倒臭い?



53だけでなく、

44町石も新旧あり(13:57)





車道横断箇所(14:02)






シュールなお助け地蔵(14:05)






展望台(14:06)

ここは、
休憩無しで、
先に進みます。






鏡石(14:24)

だ、
そうですが、
鏡のようなフラットではありません。



この辺りまで来ると、
写真を撮るのも面倒で、
ひらすら登ります。






12町石手前から、
最後の急登が始まります。



9町石を正面に見て左に曲がり、
更に、
右曲がると、

車道(国道480号線)が見えて来ました。






で、
車道に出ると、
いきなりの、

大門(15:03)

大門の真正面に出るのね。



矢立から1時間と37分ですか。

矢立〜大門のCTは2時間、
登りのコースとしては、
良いペースでした。

結構シンドかったけど。

とりあえず、
休憩。



ちなみに、
大門周辺に6、7、8町石があります。

6町石は大門のトイレ近く、
7町石は大門左の鳥居近く、
8町石は車道に出て右側(車道沿い)にあります。






休憩を終え、
最後の1町石を目指して、

スタート(15:15)






で、
やって来たのは、

中門(15:21)



そして、

根本大塔。

いつ見ても、
美しい建物です。






で、
探したのですが、
1町石が見当たりません。



丁度お坊さんが歩いてはったので、
聞きました。



で、
有りました、

1町石(15:24)



場所は、
根本大塔前の、

藍染堂の前でした。


九度山駅をスタートしたのが8時15分、
今が15時24分。

約7時間ですか。

元々のCTが7時間なので、
休憩や施設見学を含めると、
こんなもんですかね。

とは言っても、
二ツ鳥居からは、
かなり巻きましたけど。






帰り
さて、
後は帰るだけです。

普通であれば、
ここから高野山駅までバスで、
高野山駅から極楽橋駅までケーブルカー、
極楽橋駅から列車に乗れば神戸まで帰れます。

しかし、
今は、
ケーブルカーのリニューアル工事中で、
ケーブルカーは運休しているんです。

なので、
高野山から橋本駅まで、
代替えのバスが出ています。

このバスのターミナルが、
大門南駐車場。






と言うことで、

大門に戻って来ました。






そして、
ここから更に300m程下って、

大門南駐車場。



このバスです。

丁度出発するとこで、
ナイスなタイミング。





車内では、

爆睡。



起きたら、
橋本駅でした。

その後、
南海で難波まで。

難波から、
阪神で三宮まで帰りました。






振り返って

  • 九度山〜高野山まで十分一気通貫で歩けます。なんせ、ヘタレな私でも歩けましたから。
  • 普通に歩けば、6〜8時間くらいだと思います。
  • ゆっくり歩きたい場合には、九度山〜上古沢、上古沢〜高野山で分割できます。
  • 道はとても良く整備されており、迷いそうな場所、危険な場所はありません。岩場、クサリ、梯子も有りません。
  • 九度山〜高野山は登り基調なので、逆に歩けば下り基調で楽だと思います。
  • 慈尊院〜大門間で、水場は矢立のみ、トイレは神田地蔵堂近くと矢立だけです。
  • 基本林の中を歩くので、展望台以外での展望は望めません。
  • 町石は残りの距離が分かるだけに辛かったりもします(笑)

こんなとこですかね。



私は神戸なので日帰り出来ましたが、
関東だと日帰りは厳しいかもしれませんね。

その場合、
前日に高野山入し、
高野山を散策し、
翌日、
高野山から九度山に下りると言うのが良いかもしれませんね。






さて、

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」

を巡る旅もシリーズ化されたようで、
来年はどこを歩きますかね?














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